高専ロボコン2009全国大会の季節

今年もこの季節


10/25に高専ロボコン関東甲信越地区大会を見に行って来ました.
母校の出場する九州沖縄地区大会を1週前に控えて,後輩に状況を尋ねるのに必要な事前知識を蓄えるのが目的でした.
卒業後関東へ出ている少ないOB3人とささやかな同窓会といった心地も,試合を見始めれば,設計を前にアイデアを練っている時のルールに対する疑問や,大会前日のテストランの時のような批評を交わし始めてしまい,まだまだ抜け切れていない自分を知りました.
日常で忘れてしまっている会話が久しぶりに出来るのはいいのですが,既に出場者でない僕達は本当に頑張っている高専生には何を言っても勝てないのです.

22回目のロボコンは「ダンシングカップル」、2台の歩行ロボットが繰り広げるダンスパフォーマンスです。ゴールタイムを競うスピード勝負ではなく、3分間の競技時間の中で、クリアした課題の数やパフォーマンスの難易度で勝負を競う、新たなパフォーマンス対戦型の競技です。

 競技は、各チームが手動ロボット・自動ロボットの2台の歩行ロボットを製作します。まず、2足歩行の手動ロボットがスタートし、フィールドで待つ自動ロボットに、オリジナルのプレゼントを手渡してカップルとなります。そしてカップルとなったロボットは、協力して華麗なダンスパフォーマンスに挑戦します。ダンスでは、ジャンプやスピン、リフトなど難易度の高い技をクリアするたびに得点が与えられます。

ロボコン

今年はまた一段と競技課題が難しくなり,高専生に求められる技術もぐんと上がったのが伺えました.
当たり前のように二足歩行だ,自動マシンだと言っているアナウンサーに若干の苛立ちを感じたのは僕だけなのかわかりません.

二足歩行といえばASIMO.おそるおそる歩いていてすぐにバッテリー切れになっている姿を見て,昔は馬鹿にしていた記憶がありますが,
現在の駆け足や片足立ちをしている姿を観るともう別世界です.
高専生の作るロボコン出場マシンもいずれそうなっていくのかと思うと,恐ろしい.

甘くなる現場のルール

大会を見ていて昨年までとの差が顕著だったのは,競技課題ではなく,それに付随しているルールの部分が甘くなっていることでした.
ちゃんとルールブックを読み込んだわけではないので,見て思ったことを書いていますが

  • リトライが自由すぎる
  • 上位の試合では競技時間が1分増える

というのは,競技課題がもう少し熟慮されるべきだったのではないでしょうか.

そういう状況になるということは,ほとんどのチームが競技課題をこなすのすら侭ならないということ.
過去にも段ボール箱を重ねて作られた階段を最初に降りなければならない競技(2002年のプロジェクトBOX)で,まともに階段を降りられるマシンが地区大会では,片手で数える程しかいなかったことがありました.凄くそれに類似しているのです.
それを乗り越えられれば全国大会は確実.おかげさまで全国大会はそれを当たり前のものとして成り立つことになるけれど,地区大会は葬式のような試合ばかり.

同様の壁にぶつかったことのある僕達にとっては笑って馬鹿にしたりも出来ず,もどかしい競技時間を見つめるだけになります.
地区大会は決して何も知らない人をデートに誘って見せられるようなイベントではありません.苦笑

来週の日曜は全国大会

上で書いた通り,全国大会では求められたことを決して難しいことではないかのようにこなすチームが両国に集まります.
母校のチームも優勝はならずとも地区大会で推薦を得ることが出来たようで,今年も応援席に呼んでもらえて嬉しく思っているところです.

地区大会があっての5千人の見つめる全国大会が成り立っていることを念頭に,今年も楽しく観させて頂きます.

高専カンファレンスで紹介させて頂きました

先日,高専カンファレンス2009秋in東京が産業技術高専荒川キャンパス(元航空高専)で開催されました.
僕も運営に携わり,当日は設営,司会に加えて,「卒業してから高専ロボコンを観る」というタイトルでLTを行いました.

高専ロボコンに参加する学生はいったいどのような日々を送っているのかという実態を、さながら啖呵売のような口上で息継ぐ間もなく紹介してみせた。

高専カンファレンス、人気の理由は“ワクワク” - ITmedia エンタープライズ

と,紹介して頂いておりますが*1高専ロボコンをただのイベントとして見ている人や,技術の面を取り上げてきついことを言う人が少しでも出場者の歩みを知って楽しく見てくれたらいいなという思いを伝えようとした形です.
"ロボコン学生って結構大変なんですよ"というのを笑い混じりに伝えられればと思っていたら,書きたいことが溢れて5分間のLTで170枚の資料をこなすというパフォーマンスに変わってしまっていたのは少々反省です.id:kyoro353 さんが去年のミラクリナックスでの高専カンファレンスで発表した時に感動させられた,笑いと本質を同時にアウトプットする発表を夢みての結果でした.残念ながら及ばず.

発表の動画の方も

に公開されています.

ということで,間近の全国大会に熱を持ちつつ久しぶりのエントリーをここで締めさせて頂きます.

# id:marqs さんに付けて頂いた"いけてるインフラアルバイト"という呼称が一人歩きしているのが若干怖いですね.頑張ります.

*1:どーんと写真まで載せられて恐縮です><