南京錠をかける行為

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 デートスポットか何かの柵などに、名前を書き込んだ南京錠をかけるという風習を最近初めて知った。江ノ島が有名らしいのだけど、この近辺に何度か行ったはずなのに一度も気づかなかったのは、縁のない立場としてしか訪れたことがないからだろうか。

 何故南京錠が選ばれたのかまで辿ってはいないが、日本におけるバレンタインデーの風習に似たものを邪推してしまう。ロマンチックねで済めば世話はない。

 南京錠ならどうにか取り外すことが可能な上、ペンによる書き込みくらいなら容易に落として再利用することが出来そうだ。全国各地の名所っぽいところに専用の柵を用意して、定期的に取り外す。取り外すのがあからさまになるので、大量に溜まったところで仕方なく外しました的に減らして再利用扱いとなった南京錠はまた販売に回されるといった具合だ。錠前業界がいつ本腰をあげてもおかしくない。

 ある程度錠前業界が潤う反面、ネタの枯渇感に合わせて色んなデザインの南京錠が世に出回る。いまやダイヤルロック式が主流のはずの自宅のポストも南京錠が巻き返したり、絶対に外せない南京錠みたいなのが出て来てそれを誤って大事なところに付けてしまった事件に警察が追われるなか、全国にまでブームが行き渡り、地方観光地のマスコットキャラクターよろしくご当地南京錠まで出てきそうだ。

 こういう風化するのに凄く時間がかかりそうなもの、しかも回収だったりに手間がかかるものをを残すのは色々と残酷なものも思い浮かべてしまう。そこにウェブ上のアカウントなんて書いてしまっている人を想像したら辛くなってくる。チョコレートなら舌の上で数十秒の話がだ。

 写真は福岡の志賀島の潮見公園で撮ったもので、付けられた南京錠は4,5個ほどで自転車の鍵みたいなのもあった。観光名所というわけではないのか、業者の方が定期的に回収しているのかはわからないが、眺めた景色はとてもとても良かった。